アマゾンで筋トレのマニュアルを探していたらタイトルと表紙で一本釣りされました。プリズナートレーニングでビスケット・オリバらしきキャラが表紙って特定層を狙いすぎ。編集者のセンスに脱帽です。
本の内容に入る前にちょっとした小ネタを解説したいと思います。
この書籍、タイトルのプリズナートレーニングとは文字通り囚人トレーニングを意味します。
そして、表紙のイラストは板垣恵介さんの手によるもので、人気格闘漫画、グラップラー刃牙のビスケット・オリバそっくり。
ビスケット・オリバとは作中で登場した最強死刑囚で、アリゾナ州立刑務所で特別待遇されている超人です。
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オリバは監獄の中でこんな肉体を鍛え上げたのです。
この組み合わせで自重筋トレのガイドブックなのですから、刃牙の読者なら本書を手に取るのは当然の流れだと言えるでしょう(笑)
内容について
本作は元囚人のコーチが自重筋トレを教えるというもので、どうして囚人と自重筋トレが関係してくるのか、という点から解説は始まります。
理由を箇条書きすると下記の通り。
- アメリカの監獄は日本の超管理型の監獄と違って受刑者同士のトラブルが絶えない
- 地獄の監獄では喧嘩の強さが重要
- ナメられないよう体を鍛える必要があるが、トレーニング器具は無い
- 自分の体重を使った筋トレ法が重要
そして、自重筋トレこそが有史以来、人類が行ってきた最高のトレーニングである事を事細かに教えてくれます。
- 実はダンベルの発明は1900年代で、トレーニングマシンの登場は1970年代
- 近代的なトレーニングの歴史は浅く、狙った筋肉を肥大させることに特化していて見せかけだけ
- 部位に特化した筋トレは関節の故障や肉体の変形の元となり不健康を招く
- 本当の筋力は全身を連動させたトレーニング(キャリステニクス)でないと鍛える事ができない
- スパルタやローマの兵士など、近代筋トレ以前の強者はキャリステニクスで体を鍛えていた
- キャリステニクスはフィットネス業界の商業主義によって絶滅させられたが極限状態の監獄でのみ生き残った
もう、これだけでもかなりモチベーションが上がりますよね。
確かに武士は筋トレをしていませんでしたし、ダンベルや腹筋ローラー的な器具は伝わっていません。
今でもガチの古武術では筋トレは無しです。
そして、過去の日本にも下記の写真のように見事な肉体を持った男が存在していたのです。
これは歴史資料でよく見かける幕末の軽業師ですが、凄い体していますよね。
これで食事の殆どはタンパク質の少ない白米中心で、肉はほとんど食べていなかったのですから驚異的です。
しかも当時は農民の女性でさえ50kgの米俵を2つ担いで峠を上り下りしていたのですから肉体能力は現代人とは比べ物になりません。
歴史資料館で当時の農民の暮らしぶりを知って驚きました。
こうした使える本物の肉体能力を開花させるのがキャリステニクス(自重トレーニング)だという訳です。
初心者でも大丈夫か?
本書はビッグシックスという6部門のトレーニング方法を解説しており、それぞれの部門の中で難易度別に分けられています。
例えば、プッシュアップ(腕立て伏せ)だったら床に手をついて始める前に、立った状態で壁に手をついて行う方法から始めて、最終的には片手腕立てに達するといった具合です。
確かにゴールは遠いですが、これこそ初心者こそ手に取るべき本だと思います。
プリズナー・トレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ
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食事について
本書ではダンベルなどの器具無し、プロテインも無し、ステロイドはもちろん無しで行います。
通常の筋トレ本を読むと、効率的に脂肪を燃やして筋肉を大きくするため、食事に比重を置いた解説をしていますが、本書では一切不要です。
食糧事情が悪く、器具も無い時代の人間の方が現代人よりも肉体能力が高かった事は間違いのない事ですし、監獄でプロテインなんて入手出来ません。
筋トレ以外の部分でにこだわりは一切捨て去っても効果が出るのでしょう。
ただし、個人的にはプロテインは毎日飲んでいるので、マニュアルに従ってトレーニングすれば更に大きな効果が得られるに違いないでしょう。

器具やプロテインを買う余裕がないとか、ダンベルなどの置き場がない、ジムに通う時間がないという人はまず手に取ってみて下さい。
読み物としても面白いですし、トレーニング内容的にも凄く優れていると思います。
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