何やら大上段なテーマを付けてしまいましたが、糖質制限がいいとか悪いとか何を食べたらいいかという問題を超えて全力で書いてみました。正直、自分の知的水準を超えています(笑)
いわゆる健康法の中でも、食べ物を変える事は珍しい事ではありません。
実際に僕が糖質をカットすることで痩せたり、うつが軽減されたのはもちろん、便秘を治すために野菜を食べるとか、筋肉をつけるために肉を食べるとか。
更に昔にさかのぼってみれば、江戸時代には病気の際に精を付けるために肉食をしましたし、始皇帝は不老不死の霊薬として水銀を服用していました。
流石に日常的な健康法から怪しげな霊薬まで含めるのはどうかとも思いますが、ようは食べたもので体が出来ている以上、食べ物を変える事で健康状態が変わるというのは、経験上当たり前のことだという事です。
これに類感呪術が加わり、食べたものに相当する自分の体が良くなるという考えも根強いです。
例えばギアナ高地人などのカニバリズムを持っている部族では、倒した相手の強さを手に入れるために食べるのですし、もっと身近な例では肝臓が悪ければレバーを食べるとか、マグロの目玉を食べると眼が良くなるとか。
おおむね、現代における食べ物と健康の関係も下記の2点を踏襲している上で人類共通の問題意識に則っていると言えます。
- 食べ物を変えると健康状態も変わる
- 食べたものと自分の体の部位に相関関係がある
特に2番目は非常に根強いです。
今でも漢方薬の世界では類感呪術は現役ですし、脂肪を摂取すれば自分の脂肪も増える、つまり太るという事が信じられているのは類感呪術の典型です。
しかし、2型糖尿病患者への食事にも適用されているように、肥満の原因はアブラではなくて糖質だという事は明らかですから、科学的には誤りなのです。
なお、2型糖尿病患者への食事法については北里大学の北里研究所病院の糖尿病センター長の山田医師の著作をご覧ください。
糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべ て (幻冬舎新書)
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さて、長かったですが、実はここまでが導入です。
食べ物以外のパラメータについて
もちろん当然の事ですが、食べ物だけが健康状態を左右するわけではありません。
健康的な食事をとっていても、一切運動しなければ病気の原因になりますし、食事と運動のバランスが取れていても伝染病に感染することはあります。
食べ物を変える事は健康を維持達成するための条件の一つなのです。
しかし、よく考えてみましょう。
超省エネな人間
何故、人はカツ丼1杯で1日中働けるのでしょうか?
かつ丼のカロリーは約1200キロカロリーです。
1カロリーは水1グラムの温度を1度上昇させるのに必要な熱量です。
つまり、1200キロカロリーとは、1.2kgを1度上昇させる熱という事になります。
たったこれだけの熱量を摂取しただけで、人間は1日中労働作業することが出来ます。
ガソリンは1リットルで8400キロカロリーとなるので、約5分の1リットルがカツ丼1杯に相当します。
しかし、たった200g程度のガソリンで重機を動かしたらおそらく1時間もしないうちに停止しますし、人間はコンピュータをはるかに超える計算能力まで供えています。
おそらくパソコンの電力を発電するのにガソリンを使ったとしても200gはあっという間です。
つまり、食べたものが持っている熱量と仕事量の関係で言えば、人間の体は機械に比べて圧倒的に効率的なのです。
しかも消耗しても放置すれば治るし。
仕事量と熱量という基準を当てはめれば、明らかに異次元レベルの効率性です。
では、人間はいったい何で動いているのでしょうか?
どう考えても口から摂取可能な食べ物が持っている熱量だけではないハズです。
カロリー換算でダイエットをする事の無意味さについては、この例で明らかですし、各種糖質制限本をご覧ください。
また、人間に限らず牛でも同じです。
どうしてカロリーほぼ0の牧草を食べて大量の高カロリーの肉や脂肪を生み出せるのか?
インプットアウトプットの関係性だけを見ていれば、カロリーで説明するには不自然である事はあきらかです。
腸内細菌が栄養を作っている
この問題を解決するのが細菌です。
牛の例で言えば、牧草のセルロースを分解してエネルギーに変える細菌を腸内に飼っているいるために、草を食べても巨体を維持できるのです。
また、人体にも様々な細菌が常在していて、恒常性を維持しているという事はよく知られています。
ビフィズス菌とか乳酸菌とか、腸内細菌はもっとも有名な例ですね。
そこで読んだのがこの本。
あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた
河出書房新社
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おそらくというか、ほぼ間違いなく食べ物と健康の間には細菌が関係しています。
個人が持っている腸内細菌の種類によってダイエットの向き不向きがあるのでしょう。
糖質制限が向く人向かない人
これは僕が薦めるあらゆる糖質制限本に共通しているのが、腸内細菌の問題に触れていない事。
一応、ゆうきゆうの糖質制限本では、肉食を続けていれば腸内細菌も適応してくるので問題ないと書いていますが、待てない人が多く、そういった待てない人は容易にアンチになりうるのかもしれません。
マンガで分かる肉体改造 糖質制限編 (ヤングキングコミック)
少年画報社 (2015-02-23)
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この本を除けば、医師の手による糖質制限本には食べ物と体がダイレクトに関係していると書いています。
確かにその説明だけで9割方問題ないと思いますが、糖質制限を始めたら便秘になったという人がいますし、かえって集中力が無くなったなどのネガティブ報告はカバーできません。
人体の構造は画一的ですが、腸内細菌はどんな食生活をするかによって大分個体差があるのです。
おそらくというか、ほぼ間違いなく腸内細菌が原因で糖質制限が向かない人がいると思われます。
また、糖質制限だけでなくビーガン的な菜食主義にも当てはまるでしょう。
師匠のヴェジタリアンを真似をしたら不健康になったという例は山ほどあります。
これは、師匠が嘘をついているのではなく、師匠と同じ腸内細菌を持たないために同じ食生活が出来ないのだと言えます。
青汁だけを飲んで生活している人の腸内細菌が牛に酷似していたという本を読んだことがありますし、NASAの実験室で長期にわたる断食が出来たヨガの行者も同じ理屈だと思います。
自分が望む腸内細菌に変えるには?
これは青汁1杯で生きている人の本・・・出典になる本どこいったかな?・・・に書いてあった事ですが、まずは1週間にわたる断食をして腸内を空っぽにした状態で青汁を飲むことによって達成できるそうです。
この体験談はゆうきゆう氏の本に記載されているように、タイムラグはあっても腸内細菌は食べたものに最適化されるという理論と合致します。
その為、完全なビーガンを目指すのであれば断食&青汁を試すと良いかと思います。
食費を浮かす、という意味であれば炭水化物に特化した腸内細菌があれば最高なのでしょうけど、飽食の時代になってからまだ50年程度です。
いつの頃にか炭水化物が毒になっている現状を解決する腸内細菌が生まれるかもしれませんが、現状では自分が食べ物を選別することが必要みたいです。