ニコニコ動画を見ていたらなんと「甘くない砂糖の話」の動画が公開されていたり、糖質制限本著者の対談動画が生放送されていました。これは滅茶苦茶面白い!
これは素晴らしい放送でした。
まもなくタイムシフト放送が終わって見れなくなってしまうのは残念です。
まず、甘くない砂糖の話に関しては日本公開時に映画館でチェックして記事も書いていましたが、ニコニコ動画のような一般人の見るメディアに流れたのはかなり意味があると思います。

映画の存在自体を知らない人が多かったはずですから、少しずつでも広告出来ればありがたい。
ネット放送のいいところが出ていたと思います。
そして、一番の見どころは糖質制限の真実を書いている北里大学の山田悟医師と食べてはいけないの渡辺雄二さんの対談です。
マトモな議論をするための前提条件
以前も書きましたが、マトモに議論をしようとすれば自分の主張を言いまくるだけでなく、
その根拠となるデータとデータの信頼度であるワラントがセットになっていなければ意味がありません。
その為、朝生のようなテレビの議論番組のように、ひたすら主張を大声でしゃべりまくるのは議論でも何でもありません。
相手がしゃべっている時に被せて大声で圧倒するというのは、韓国の声闘(ソント)なのですから、議論ではありません。
韓国の声闘(ソント)がやりたければ、議論とか討論と言わずに最初から声戦をすると言ったらいいのです。
筋が通らない事でもその場の雰囲気を醸成して勝ったように見せかけるというのは、なんの問題解決になりません。
そうですよね?
以前、ケトン体の記事で糞コメに荒らされてからコメント欄を閉じましたが、結論が先にある人を納得させることは出来ないのです。

さて、前置きが長くなりましたが今回のニコ生での山田悟さんと渡辺雄二さんの対談はまさに理と情の戦いでした。
人工甘味料とカロリーは悪なのか?
まず両者の主張をまとめてると下記のとおりです。
渡辺雄二さん
- 戦後の日本人の摂取カロリー量は増えている
- 過剰なカロリー、人工甘味料や加工食品の増加がガンや糖尿病の原因であり悪である
- 人体に吸収されない食品は悪である
- 人工甘味料を摂取すると舌にしびれを感じるのは体に悪い証拠である
- 人工甘味料の害の根拠はある。厚生省が犬を使って人工甘味料の害を証明している
- 確固たる根拠やデータが無いとしてもヨーロッパで主流となっている体に悪そうなものは食べない予防原則に従うべき
山田悟さん
- 近年日本人の摂取カロリーはむしろ減少しており、カロリー増加のデータは無い
- 人工甘味料と砂糖の害を比べるのなら人口甘味料の害の方がマシである
- 体に吸収されない元素はたくさんあるし、排出されるなら何の問題も無い
- 刺激が悪であるなら香辛料も悪になるし、刺激を感じるか感じないかは個人の感想である
- 犬にとっては玉ねぎが害になるように、犬を使った実験のデータを人間に当てはめるのは無理があるのではないか
- 予防原則は認めるが、人の食生活に口出しをするのであれば、確固たるデータが無い限りは口出しすべきではない
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渡辺雄二さんの主張について思った事
おそらく、ベジタリアンであったりフードファディズム的志向の強い人は渡辺さんの主張に大きくうなずく所が大きいと思います。
アステルパーム、スクラロース、アセスルファムKはガンの原因だから食べてはいけないのであり、砂糖を取ったほうがマシであると言われたら、自然が一番だと考える人なら納得するでしょう。
実際、「人工甘味料」という言葉には体に悪そうなイメージが付き待っています。
しかし、この主張の論拠は犬を使った実験データであって、根拠薄弱だと思うのです。
買ってはいけないは僕も読んだことがありますし、食品添加物を一概に敵視するのが渡辺雄二さんの基本思想ですから、食品添加物の認可を得るための試験データなどの話をしても効く耳ありません。
その上、カロリーの摂取量が増えているデータはどこにあるのか、と問われても厚生省のデータとしか言えないし、人工甘味料がガンの原因であるという主張の裏付けとなるデータは犬に食べさせた実験です。
反論を受けても話をずらして回答していないし、渡辺さんは主観と客観を分けられない残念な人なのだと感じました。
本の著者が実際にその主張をさらすと、余りにも貧弱で驚くことがあります。
またテレビでは論客ぶっている人(鳥越氏など)が実際は反論に弱いというのも知られるようになったのではないでしょうか?
紙や電波の上であれば反論が無いから一方的に主張出来ますが、今はネットも双方向ですし、対談では相手に突っ込まれることもあるわけです。
そういう意味では幻滅しましたね。
しかも週刊金曜日で20年以上「買ってはいけない」を連載しているとの事ですが、最初の1冊が当たっただけで後は反論にやられ放題なのも良くわかります。
でも主張を引っ込めない、というのはもう宗教的境地なのではないでしょうか?
まあ、週刊金曜日自体がどんな雑誌か、という点も調べた方がいいかもしれませんね。
山田悟さんの主張について思った事
もともと、このブログでは何度も著作を紹介していますし結構読み込んでいるつもりですから、かなり理知的な人なのだろうという予想はしていました。
しかし、画面で実際にしゃべっているスタイルや物静かな態度に驚きました。
全く煽ったり、声を荒げたりしません。
コレ、ホリエモンだとかひろゆきだったら煽りまくるような案件ですよ?
番組を見ていて、この画像を連想した位です。
年齢的にも渡辺氏より若輩だからというのもあってか、反論するときに下から丁寧に全く嫌味なく、でも主張だけは曲げない姿勢に驚きました。
頭いいのに腰が低くて社会性が高くてホントに凄い。
伊達に糖尿病治療の責任者やっていないですね。
実績や経験に圧倒的な自信があるのだと思いました。
それに発言が物凄く慎重かつ丁寧。
放送のラストで、若年性糖尿病(一型糖尿病)の危険があると医師に言われた若者からの質問を受け付けたのです。
どうやったら発病しないで済むかという質問を投げかけられたときの態度は専門家としての誠実さを感じました。
その回答は、一型糖尿病はインシュリンが分泌されなくなる体質の病気だから100%発病を食い止める方法はないけれども、糖質制限をすればインスリンの分泌を抑えられるから発病を遅らせる事は出来るかもしれない。
発病させない事は出来ないけれども、遅らせる事は出来るかもしれない、という趣旨の回答です。
専門分野だけあって「出来る出来ないの発言」は厳密ですよね。
この知的誠実さや厳密さが北里大学からノーベル賞受賞者を出した文化なのかもしれません。
それに対して、良く知りもしないのにアドバイスを出す渡辺さんはホントにひどい。
「医師と相談して摂取してもいい最低量の糖質」というコメントなんて突っ込みどころ満載で、案の定、山田さんが反論していた位ですよ。
対談相手が医者、しかも北里大学の北里研究所病院の糖尿病センター長だって事を忘れてるのか、この人は。
専門家を前に適当な事を言う恥ずかしさとか無いの?
きっと著作でも思い込みと知ったかぶりして書いているんだろうな、と感じた一幕でした。
何を信じたらいいか?
この記事を書きながら人工甘味料について調べたら、検索上位にネイバーまとめがあって人工甘味料の害毒をまとめていました。
それなりにボリュームのあるまとめですから、多分予備知識無しで読んだら頭から信じてしまうと思います。
しかし、結局のところ、何を信じるかというのは判断力の無い子供以外は自分で決めるべきことです。
僕の場合はどんな人がその主張をしているのか、という点について注目しています。
とにかく恐怖を煽っていたり、根拠は無いけど自信満々というのは「僕には受け入れられない」主張です。
この記事も放送を見たいち個人の感想でしかありません。
山田さんを賞賛し、渡部さんに幻滅するのは僕の受けた印象であり、感想です。
分かった気にならず、実際に元の放送を見たり二人の著作を読むなりして、自分の意見を持ってください。
何が正しいかを人に決めてもらうのではなく、自分で決める事が重要なのだと思います。