Twitterのタイムラインをながめていたら、週刊ダイヤモンドのウェブ版で糖質スローオンという謎の活動が静かなブームであるという記事が流れて聞きました。いったいどんな活動なのでしょうか?
糖質制限より体に優しいとの事で、早速記事を読んでみたのですが1ページ目で失笑。
ちょっと勉強したらすぐに分かるような事ですら調べず、思いっきりポジショントークに持ち込むための誤った前提が満載です。
3大栄養素、糖質は絶対に必要、糖質が無いと脂肪が燃えないからエネルギー不足になる、脂肪が燃えないから筋肉が分解されて代謝が悪くなる・・・等々。

特にひどいのがこれです。
問題は脂質を多く燃やすためには糖質が必要であることだ。体内にある程度“火付け役”としての糖質がないと、脂質をうまくエネルギーに変換できないので、結局はエネルギーが不足してしまう。
これはいったいどんな裏付けに基づいているのか、と。
糖質制限で痩せづらい、という人が脂肪不足だったことはありえます。
糖質制限で、糖質だけでなく脂質までカットしてタンパク質ばかりを中心にとると体重が減りづらくなるからです。
ある程度あぶらを取らないと痩せづらくなるのは間違いが無い事です。
しかし、糖質が無いと痩せないというのはあからさまにおかしいですし、脂質をエネルギーに変換できないなんて話は聞いたことが無いです。
糖質スローオンとは何か?
結局、記事の目的は何かというと、スローカロリー研究会という社団法人が推奨する糖質スローオンという活動の広報です。
糖質スローオンとは、ハードな糖質制限は危ないから糖質を減らしつつ、血糖値の上昇を招かないようにサラダを先に食べたり、砂糖の代わりに血糖値を上げづらいパラチノースを摂取することです。
スローカロリー研究会の活動は2015年から始まっているようで、まだ報告書も昨年分しかありません。
そして役員を見ると非常に面白い事が分かります。なるほどねぇ。
パラチノースを推奨するなら、何故エリスリトールを推奨しないのか?
結局はサラダを先に食べるのも、パラチノースを使うのも、急激な血糖値の上昇がインスリンを分泌させることで肥満することを防ぐためです。
でも、どうしてパラチノースなのでしょうか?
確かにパラチノースは砂糖から作られていますし、砂糖に比べて血糖値の上昇もゆるやかです。
でも、それだったらエリスリトールのほうが優秀です。
糖アルコールのエリスリトールは全く血糖値を上昇させないのでインスリンを誘導しませんし、虫歯の原因となる酸を作らない事が確認されており、しかも摂取量の上限が定められていない程に優秀です。
しかも砂糖から工業的に合成されるパラチノースに比べて、エリスリトールは酵母から発酵によって作られます。
その上、味に変な癖が無いので、糖質制限者の間では砂糖の代わりにエリスリトールかラカントSを使うのが一般的です。最近ではライザップのコミットスイーツにも使われました。
スペック的にはパラチノースの上位互換だと思います。
にもかかわらず、何故パラチノース押しなのか、というとそれはスローカロリー研究会の役員に「三井製糖株式会社 商品開発部」の人が名を連ねているからでしょう。
ちなみにエリスリトールは三菱化学フーズが製造しており、パラチノースは三井製糖が権利を持っています。
糖質スローオンは糖質制限へのカウンター
おそらく、糖質スローオンは糖質制限へのカウンター活動なのだろうと思います。最近立ち上げたばかりの社団法人という事も理由の一つです。
糖質制限者の視点かもしれませんが、このところエリスリトールを使った食品がコンビニに増えているように思います。
例えばガムです。
虫歯にならないガム、というと通常はキシリトールが中心でしたが最近買ったロッテのガムはキシリトールに加えてエリスリトールが使われていました。
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おそらく探せばもっとエリスリトールを使った食品は増えているでしょう。
砂糖の代替品という意味でエリスリトールはパラチノースとは競合しますし、そもそも糖質制限は利害関係者が多いのです。
しかし、糖質制限自体についての誤った認識を前提として糖質スローオンを流行っている事にする、というのは如何なものか。
そもそも静かなブームというのは流行ってない、という事だと思います。
僕のように糖質制限を明言したら変人扱いされた人からしてみれば、間違った前提が書かれている時点で読む気無くして、頑なな気分になります。
やはり糖質制限を良く知らない人を相手にしているのでしょうね。
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