社会人のうつ病の原因のかなりの部分が社内の人間関係に由来する事は、
間違いありません。そこでいじめとうつの関係について語ってみました。
いじめ、というとかなり語りづらい話題なので学生の時はともかく、
大人になるとなかなか相談出来るものではありません。
しかし、ブラック企業の中には意図的に社内にいじめられ役を作る事で、
不満のはけ口として社内の結束を保つマネジメントをする事があります。
ひょっとしたらあなたがターゲットになっているかもしれませんよ。
スケープゴート法
スケープゴートとは聖書由来の言葉で贖罪の山羊とよばれます。
いけにえの羊、と誤解している人も多いですが、正しくはヤギです。
いったいどういう意味かというと、集団内の不平や憎悪を他にそらすため、
罪や責任をかぶせられ迫害される人を指します。
集団は敵がいた方が団結しますから、アイツは敵とかイジメてもいい奴と言う風な
空気が出来ると、いじめられる人以外は団結力が増すのです。
例えば、20人ほどの部署にAさん、BさんCさんの3人の新入社員が入ったとします。
三人とも能力はおなじだとしましょう。
この環境で3人とも同じことをやっても、何故かCさんだけはボロクソに貶されていくと
Cさんは無能とかCさんは給料分働いていない悪い奴という共通認識が生まれて行くのです。
例えば営業件数の報告をした時、AさんBさんが1日10人と会いましたと言うと、
「新人の内はまずたくさん人に会う事が大事だ、よくやった」と評価しますが、
Cさんが「今日は10人と会いました」というと、
「人に会う事が仕事では無い。商談の中身はどうなんだ。仕事した気になるな」などと、
みんなの前で貶すのです。
周囲の人間も馬鹿ではないので最初は極端なCさん下げに同情しますが、
毎日のようにCさんが怒られていると、
何か悪い点があるに違いない、そうでなければあんなに怒られないと考え、
やはりCさんの評価がどんどん下がります。
食事の時にもCさんは使えない奴だ、と話し、
喫煙所でもCはダメだと噂をまき続けると遂にはCを敵として、
20人+新人2人が一体感を得るのです。
みんなで話をする時は取りあえずCを悪者にして、みんなで乗っかるとか、
部の業績が悪い時はCが足を引っ張ているとか。
この時のCさんの立場がスケープゴートであり、
こういった方法で部内の団結を図るマネジメント方法がスケープゴート法です。
スケープゴートに選ばれるのは、真面目で噛みついたりしないような
大人しいタイプが多いです。
罵倒した時にガチで反論されたら面倒、
もともと不条理な理由付けなのですから正論で返されると不味いのです。
ブラック企業のマネジメントだけではない
そういえば!とかもしかして!という人も多いのではないでしょうか。
自分がいじめられていなくても、
何となく部内に一人くらい無能キャラのメンバーがいるはずです。
極端にスケープゴート化しなくても、マイルドに無能認定する事で
部内が結束している事は多いです。
そして大問題なのが、みんなに無能呼ばわりされているうちに、
スケープゴートにされた本人が本当に無能になっていく事です。
自己評価がどんどん落ちて、みんなに期待されるような(無能な)行動を
無意識の内にとってしまいます。
人が居つかない職場だけではありません。
勤続年数が長い部署でも起こり得る状態です。
ヤンキーやヤクザが面子を重視する訳
あえてヤンキーとかヤクザといった悪そうな人たちの例をあげますが、
彼らは人間関係の機微をよく知っています。
集団の空気を読む事が得意な彼らがどうして些細な事でキレてみせるのか?
それは、集団の中でスケープゴート化される事を未然に防ぐためです。
自分に対する評価を落とすような言動は絶対に許せるものではありません。
これを一言で言い表すと下記のセリフになります。
「ナメられたら終わり」
「面子が立たない」
こういった人間の力関係に鈍感なタイプは多少失礼な事を言われても、
寛容に笑って流したり、怒るのはダメな人、我慢するのが人間として正しいと思って、
その通りに振る舞います。
その結果反撃しないので、自分の評価は下げられっぱなし。
これがナメられている状態です。
人間関係でうつ病になる
自己評価が下がると自分に価値があるように思えなくなってきます。
自分の重要性が低下するのです。
これが抑うつ状態を生み出します。
今思えば、僕は確実にスケープゴート化されていました。
直接の原因はブラック企業特有の荒れた空気でしたが、
マジメっ子の僕は馬鹿正直に無理な命令を実行しようとして失敗を繰り返し、
その結果スケープゴート化を招きました。
正しい行動は、無理難題を押し付けられそうになったら
キレて見せる事だったと思います。
誰が見てもムリな事でも受けさせられてしまえば責任を負わなくてはいけません。
そして安全策として言質を取ってもダメです。場の空気が反論を許しません。
キレてみせれば、彼には無理は言えないという空気が醸成出来て、
失敗が分かっている業務をする事も無いから評価を下げられることは無かったでしょう。
実際問題として、そういったヤバい仕事は誰も触らないといつの間にか
無かった事にされて流れていきます、ホントですよ!
マジメな僕はその事が分からなかったのです。
会社の業務には様々なものがあり、うつを誘発するような人間関係もたくさんあります。
ここで僕が紹介するような例ばかりではないでしょう。
しかし、これがガチの組織での振る舞い方、生存戦略です。
メンタル系書籍について
人間関係とうつを語る人は多いですが、みんな半分だけしか真実を語りません。
大体の場合はこんなかんじでしょう。
- 相手にもいいところがあるからそれを探して好きになれ
- 自分を見つめ直せ
- 何を言われてもダメージを受けない強い心を持て
- 嫌な気持ちになっても一瞬で切り替えが出来るようになれ
全部自分由来の対処法です。人間関係は相互関係なのに。
両方に原因があるのに、自分の方だけ直してもダメです。
相手の幸せを祈れば自分の幸せになるとか、
自分が気にしなくなれば相手も自分に関与しないとか、
全く不完全で具体性も即効性もありません。
読んで一時の心の平安を得るだけ。
読む痛み止めです。偽りです。
自己評価を下げられて組織のスケープゴートになっている自分を発見したら、
まず巻き返しは無理です。うつになってしまったら尚更の事。
とっとと転職なり、別の生き方を探した方が良いでしょう。
無能扱いされていると、無意識の内に影響されて本当に無能になってしまいますよ。
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