うつ病と診断されたけれども以前と変わらぬ性欲を保っているという話は
ついぞ聞いた事がありません。そこでうつとEDについて解説します。
そもそもうつ病の時は抑うつ状態になっているので、
気力が失せて滅入っているような心理状態が恒常的に続きます。
だからといって、暗い部屋の隅で体育座りしているという訳ではありませんし、
性欲が完全に消滅するかといえばそんな事もありません。
刺激されれば反応しますし、
特に妻やパートナーがいる人は性生活だってあります。
しかし、僕が知る限りにおいてほとんどの人は性交渉の頻度が激減していますし、
人によってはEDになる人もいるようです。
この時に、原因がうつ病そのものにあると思いがちなのですが、
実は違うというケースがあるのです。
うつとED
原因は3つ考えられます。
まず1つ目は抑うつ状態になっていてその気にならない、というもの。
つまり心因性のものです。
うつ病の患者は快楽ホルモンのドーパミンの分泌量が減ってしまいます。
その為、性的な刺激を受けても脳が十分なドーパミンを分泌しないので、
海綿体が反応しないのです。
2つ目はうつ病の際、処方される薬の副作用によってEDが起きているケース。
うつ病の時は自分の性機能に注意を向ける余裕が無く、優先順位が低いのですが、
実はうつ病の際に処方される薬のほとんどに性機能障害の副作用があります。
いったいどうしてなのかというと、
うつ病の薬の多く、特にSSRIと呼ばれる種類のものはセロトニンやドーパミン、
アドレナリンの受容体をブロックすることで脳内のホルモンの濃度を保ちます。
これによってうつ病が改善するのですが、この機能自体が性機能を刺激してしまいます。
僕は元うつ病患者ですが医者でも専門家でもないので詳しい薬の機序は分かりませんが、
本来は吸収されてしまうホルモンを脳内に留めておく事自体が不自然なのですから、
どこかに歪みがでているのでしょう。
実際、僕が服用していたアモキサンやドグマチール、
パキシルやジェイゾロフトでは性欲減退や性機能障害がかなり出やすいとの事。
どうしても優先順位が低いせいか、
クリニックや精神科ではそんな説明受けていない!という人もいるかと思いますが紛れも無い事実です。
確実な一次情報は薬名+インタビューフォーム、薬名+添付文書などで検索すると、
PDFの資料が見つかります。
詳しく知りたい方はチェックしてみて下さい。
因みにジェイゾロフトのインタビューフォーム(添付文書)から、
一部抜粋しましたが、61ページのその他の副作用の項目に下記が記されています。
男性だけでなく、女性機能についても副作用が起きる事があるようですね。
- 排尿困難
- 尿閉
- 頻尿
- 性機能障害(射精遅延、持続勃起症等)
- 月経障害尿失禁・夜尿
- 乳汁漏出症
- 女性化乳房
そして最後の理由はうつ病や薬が原因だと思っていたけれど、
実は生活習慣自体が原因となってEDが引き起こされるケースです。
うつ病には食欲が減退するケースと増進するケースの両方がありますし、
気を紛らわすためにいつもよりもお酒を飲んでしまうケースもあります。
この場合うつ病が原因というよりも、乱れてしまった生活習慣によってEDが誘発されるわけです。
対処法について
まず、いったいどの状況が当てはまっているのか確認します。
お酒の量が増えているのなら3が当てはまる可能性が高いので節制する事が対処法となりますし、薬を飲んでいないけれども男性機能が低下しているのなら1です。
実際は1~3が混じっているケースもあるかと思いますが、
薬服用の有無はハッキリしていますし、3に関しても身に覚えがあるでしょう。
1・2のケースは主治医に相談です。
ほぼ間違いなくうつ病の症状と照らし合わせながら減薬するか、別の薬に変える事になるでしょう。
薬の効き方には個人差があるので、
副作用が出やすい薬からそうで無いものに変えるわけです。
僕も数回薬を変えて、最後はジェイゾロフトを服用していました。
やってはいけない事、オススメ出来ない事
薬には同時に服用してはいけないものが存在します。
上記のインタビューフォームにもあるように、
○○を服用している場合はこの薬を使ってはダメ!という注意書きがあるのです。
何を言いたいかというと、
うつ病の薬を服用しながら精力剤などを飲むことをオススメしないという事です。
ほぼ間違いなく、精神科やクリニックで同時にバイアグラの服用は禁止です、と
釘を刺される事はありませんし、EDのクリニックでは飲み合わせOKという所もあるようですが、それでもお勧めできません。
僕が知る限り精神科でバイアグラを処方する事は無いですし、
うつ病とED、いったいどちらの優先順位が高いのか!という事です。
そもそもうつ病が主たる原因となってEDが引き起こされているケースの話なのですから、それを放っておいて手っ取り早く別の薬を追加するというのは泥縄でしょう。
うつの時は視野が狭くなっているので、パートナーと上手く行かなくなった結果、
焦って即効性が期待できる薬の服用に手を出すケースだってあるかもしれませんが、
それでもお勧めできないです。
どうしても急を要する、というのであれば主治医とよく相談する事が大事です。
うつ病の時は医師A、EDは医師Bと言った具合に別々の病院に通うとなると
何かあった時の責任の所在があやふやになります。
うつにまつわる事は何でも相談する医師が一人いればいいので、
素人考えで同時に複数の医師の診察・指導を受けるのは危険ですし、
医師サイドの視点に立ってみれば、
症状の変化が自分の管理外の薬によって引き起こされたとなると対処のしようがないと思われます。
減薬・断薬・薬の追加(!)に関しては医師と相談の上、決定して下さい。
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